Interview

カフェと、映画と、青汁と。

Kenji Tani

1976年生まれ。京都府出身。
大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京し、多数の自主製作映画に携わる。広告会社に勤務したのち、フリーに。2013年映画「リュウセイ」で監督デビュー。2016年「U-31」、2018年「一人の息子」。映画の他、舞台演出や本の編集など活躍は多岐にわたる。

2nd Guest

 第二回目のインタビューゲストは、映画監督、舞台演出家、映像ディレクターとして活躍されている谷健二監督。
谷監督とは監督作品三作目となる映画「一人の息子」を通して知り合い、アサヒ緑健のCMディレクター、また33 CAFÉ GREENのイメージ映像も制作していただきました。映画監督として大切にしていることや次回作について語っていただきました。

取材日:2019年1月25日

チームワークを大切に

Interviewerこれまで監督された映画で特に印象に残っているシーンはありますか?

Taniデビュー作「リュウセイ」で主人公の一人、享(遠藤要さん)がギターを弾くシーンです。音楽をやめて地元で居酒屋の店長をしながら自分の夢との折り合いをつけていく中、決意のためにギターを弾く重要な場面でした。当初、細かくカット割りして撮る予定だったのを、リハーサルで遠藤さんのギターを弾く芝居を観た時に、これは引きの画で一発撮りをしたいと撮影直前に変更しました。結果、これまでの撮影で一番リテイク(撮り直し)をすることになったんですが、自分の中で満足のいくシーンとなりました。クランクアップし、撮影地の長野から東京に帰る時に、映画史に残るとまでは言いませんけど(笑)、何かやりきった感じだったのを覚えています。

Interviewer映画を撮影する時に大切にしていることがあれば教えてください

Taniまだ自分でコントロールできないことが多く、いろいろな状況に左右されることも多々ありますが、そういう時には自分がその時に感じていることを大切にしています。右脳で感じたことを左脳で構成するという感じです。何となくですが・・・。言葉で説明するのは難しいですね。(苦笑)あと、チームワークは大切にしています。映画は自分一人の力ではなく、出演者、撮影スタッフなど多くの人の力が結集して出来上がるものなので、日々感謝しながら撮影しているつもりです。

『一人の息子』の撮影の時は、初日が生憎の台風で、外で予定していたシーンが室内に変更になったんです。それなりに撮れてはいたけれど、自分の中でずっと引っかかっていたんでしょうね。その四日後だったか撮影開始前の早朝に少しだけ時間が取れそうな日があったんです。強行スケジュールでしたが、再撮影をしたいとスタッフ・キャストにお願いしたら快く引き受けてくれて、撮り直しをすることができました。いいものを作ろうとする思いがみんなに伝わって、とても嬉しかったです。チームワークを大事にしつつ自分の感覚を上手く取り入れる、そんなバランスを大切にしています。

“心に何か残る”映画づくりを

Interviewer監督の好きな映画を教えてもらえますか?

Tani好きな映画はたくさんありますが、その中で一つ挙げるとしたら『スモーク』ですね。(1995年公開)ブルックリンの煙草屋と常連客の日常を描いているお話です。構成も良かったけど、エンディングが特に好きなんです。それまでは80年代のハリウッド映画のいわゆるハッピーエンドな作品を観ることが多かったのですが、この映画のエンディングは観客に何かを投げかける感じがしました。その後調べてみると、エンディングには、グッドエンディングとバッドエンディングの他にオープンエンディングというのがあったんです。

Interviewerオープンエンディングですか?

Taniオープンエンディングというのは、どう解釈するかは観客次第というものです。『スモーク』の終わり方がそのオープンエンディングだったので、今まで観てきた映画と違う印象を受けたのだと思います。それからさらに映画が好きになりました。
起承転結がハッキリしていてスカッとするハッピーエンドの作品も好きですが、観終わった後も何か心に残る、そんな作品と出会ったことで、撮る側にまわってみたいと思うようになりました。

Interviewer映画監督になるきっかけの一つですか?

Taniそうですね。

Interviewerご自身の作品でもラストシーンは意識されますか?

Tani僕は映画に結論は必要ないと思っているんです。登場人物たちが観客の中で生き続けてくれれば、それが一番嬉しいです。また、お客さんの観る環境だったり、誰と観るか、いつ観るかによって感じ方が違ってくると思っているので、行間を感じながら観てもらえると嬉しいなと思います。なので、「この映画は、こう考えてほしい」という計算はなるべくしないで作るようにしています。今の自分が直感的に作りたいと思うものを大切にしているので、観る側の人にも自由に受け止めてもらえたらと思っています。

Interviewer「一人の息子」のエンディングも余韻を感じる終わり方でしたね

Tani映画を観てくださった方で、「親や家族のことを考えました」というようなコメントをたくさんもらいました。観た方それぞれの心に何か残ったとしたら嬉しいですね。

喫茶店は“誰かと会う場所”

Interviewer「一人の息子」には、喫茶店(カフェ)のシーンが多く出てきますね

Taniそうですね。初対面同士での会話のシーンが多かったので、自然と(喫茶店が)たくさん出てきます。

Interviewer監督にとって喫茶店(カフェ)はどんな場所というイメージですか?

Tani映画の中でもそうですが、喫茶店は誰かと会う場所というイメージです。待ち合わせ場所にどんな喫茶店を選ぶのかで、その人のバックグラウンドが想像できるというか。良い喫茶店をたくさん知っている人はかっこいいなと思います。

Interviewer喫茶店とカフェでは違いがありますか?

Tani喫茶店はカフェに比べてスタッフの個が立っている感じですね。行きつけの喫茶店では馴染みのマスターが声をかけてきたりするでしょうが、カフェで店員さんから声をかけられることはあまりありませんから。どっちに居心地の良さを感じるかは人によって違うと思いますけど、個人的にはカフェの距離感の方が好きだったりします。

Interviewer33 CAFÉ GREENはどうですか?

Taniもちろん最高です。(笑)駅前にあるカフェによくあるようなゴチャゴチャ感もあまりなく、スタッフの距離感も絶妙です。WiFiも使えて便利ですし。青汁のメニューも豊富なので、頭の中が自然とリフレッシュされている感じにもなります。春から初夏にかけてのテラス席も好きです。緑あふれる中でゆっくりできる至福の時間です。

お気に入りは“緑効ハイ”

Interviewer緑効青汁のお気に入りの飲み方があると伺いましたが?

Tani実は都内でバーを経営しているのですが、そのお店でよくオーダーがあるのが、焼酎(甲類)の水割りに緑効青汁を入れた「緑効ハイ」なんです。次の日の体調も考えて、締めの一杯には必ず僕も飲んでいます。青汁が入っているから、お酒なんだけど少し罪悪感が和らぐという人気のメニューです。(笑)

谷健二監督が経営しているお店

BAR CUT

  • 住  所 : 〒107-0062 東京都港区南青山6-13-18-105
  • 営業時間 : 20:00~ (不定期)
  • 電話番号 : 03-6427-4986 

一度壊して、新しいことにチャレンジしたい

Interviewercinefil(シネフィル)という映画雑誌の編集長もされていますが、きっかけは?

TaniWebマガジン 『cinefil』 の立ち上げ当初に少しお手伝いさせていただいた縁がありまして。このご時世ですがなんとか書籍として世に残せないのかなと思ったのがきっかけです。それと、当たり前ですがもともと映画が好きなので、今旬な映画関係者に自分でインタビューをしたいと思ったのも理由の一つです。メジャー映画ではないインディペンデント(注)の良い作品だったり、役者だけでなく監督にもスポットを当てた書籍というのは意外に少ないんで、自分が良いなと思った作品や人を多くの人に知ってもらえればと思い始めました。
(注)インディペンデント映画 ・・・ 自主製作映画、独立製作映画などのこと

Interviewer次回作の構想はありますか?

Taniこれまでと違ったテイストの作品を撮りたいと思っています。恋愛がテーマであったり、コメディ作品であったり。監督デビューして長編3本の他にもたくさんの経験をして作風が固まってきたこともあるので、一度壊したいというか新しいことにチャレンジしたいと思っています。

Interviewerありがとうございました。次回作も期待しています

Finished the Interview

インタビューを終えて

谷健二監督にとって映画とは何ですかと伺ったところ、間髪入れずに「人生そのもの」という答えが返ってきました。
また「今は映画にしがみつくしかない」とも。終始飄々とした雰囲気でインタビューに答えてくれましたが、この質問に対しては熱情のようなものを感じました。本当に映画が好きなんだということが伝わってきました。